東京外語大・九条の会、講演会開催


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2月7日、イタリア・レストラン文流がテナントで入居している高田馬場F・Iビルで今年も講演会と懇親会を開催しました。F・Iビルでの開催はこれで3年連続となり、定例化しつつあります。今年は講師役を本学卒業生で日本ユーラシア協会常任理事としてウクライナ情勢にも明るい堀江則雄さん(外R1971)にお願いして、「激変する世界とユーラシア」という演題で講演してもらいました。

ウクライナではベラルーシの首都ミンスクで開催されたロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの首脳による会談に基づいて2月15日からの停戦が合意されてはいますが、依然として武力衝突が頻発しており、停戦継続が危ぶまれております。堀江さんはウクライナが国家として存在したのはソビエト連邦消滅以前では帝政ロシアの崩壊からソビエト連邦発足までのわずか4年強の期間だけであり、かつ歴史的な観点からもロシアとの結びつきは強く、解決には時間がかかると見ています。つまり、ウクライナ問題を「新冷戦」あるいは「文明の衝突」と捉えるのではなく、短期的にはポスト冷戦で作られたシステム崩壊、長期的には欧米支配からの脱却、つまり多様化によるものと捉えるべきだとの見解です。一方ソ連邦崩壊に伴う経済の大混乱により一旦は国際的な地位を大きく低下させたロシアですが、プーチン戦略の下、ユーラシア経済連合を立ち上げ、SCO(上海協力機構)、BRICSなどを通して徐々にその存在感を高めてきつつあるとも見ています。

講演終了後は、本会会員の西村さん(外I1956)が会長に就いておられる文流からケイタリングしてもらい懇親会に移りました。出席者がそれぞれの思いを吐露しましたが、集団的自衛権発動、憲法改変などが俎上に上っているだけに、以前にも増して危機意識を反映した発言が相次ぎました。なお、5月16日には著名な詩人アーサー・ビナード氏をお招きしての記念講演会を行います。(平成27年2月19日記)

投稿者: 鈴木 俊明  スペイン語 1972年卒業

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