生きもの動画オタクと化した日々


在学中から子どもの本の送り手になりたいという願いがありました。細々と続けてきた訳業ですが、ありがたいことに長年の夢がかたちになりました。

今回要求された作業において、実際に英語原書で表されているのと同じ状況を動画などで見つけだし、生きものたちが発する音を聞きこむことが前提でした。その部分を探しあて、繰りかえし聞き、作家の念がこもっている英語表現を土台にしてカタカナで再現するための最適解を追求する――在学当時の試験前にもこれほど聞き取りに集中したことはありませんでした。おそらく編集作業でも、ひとつひとつの音声確認と照合にかなりの時間を費やしたことでしょう。

訳了から刊行までほぼ1年のあいだに、気鋭の動物言語学者の大ベストセラーが生まれました(ドジョウ狙いではなかったのですが、その一群と見られてしまうかもしれないのがいささか悔しいです)。こちらは児童書として、原書より一回り大きく丈夫な製本で、長く子どもたちに寄りそい、目と心を楽しませ、笑顔を贈れる日本語版になったと信じております。

投稿者:森村 里美 ロシア語1986年卒

本投稿へのご意見、ご感想等はこちらまで

,