書籍『危険な言語――エスペラント弾圧と迫害の歴史』のご案内


ウルドゥー科1990年卒の吉田奈緒子と申します。

このたび新しい共訳書が刊行されました。

外語同窓生も複数関わった本書に、どうぞご注目ください。

***************************************

『危険な言語――エスペラント弾圧と迫害の歴史』

ウルリッヒ・リンス 著

石川尚志/佐々木照央/相川拓也/吉田奈緒子/臼井裕之 訳

2025年9月20日刊 国書刊行会

税込定価 3,960円 A5判上製 496頁 口絵図版多数

1887年に帝政ロシアのユダヤ人ザメンホフが、母語の異なる人どうしの相互理解を願って考案した国際語エスペラント。国家や民族の枠を超えた草の根のコミュニケーションを可能にする中立的言語とその普及活動は、ロシアや欧州各国の言語事情と民主主義の成熟度に応じて受容されていく一方で、疑念と反発を招き、とりわけヒトラーとスターリンの独裁下で苛烈な弾圧にさらされる。エスペラント運動がたどった苦難と再生の道のりと、この言語の理念に魅せられた話者たちの運命を克明に描いた、エスペラント史の最重要文献。

***************************************

共訳者の故・佐々木照央さんはロシア語科、相川拓也さんは朝鮮語科の出身です。

また著者のウルリッヒ・リンスさんは、ドイツ学術交流会(DAAD)で東京事務所長も長く務めた方。少なからぬドイツ語関係者がご存じなのではないでしょうか。

私自身はこれまでに『ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした』(マーク・ボイル著、紀伊國屋書店)等、英語からの訳書を5冊ほど出していますが、エスペラントからの翻訳は(そして複数訳者との共同作業も)本書が初めての挑戦でした。

500ページ近い重量級の歴史書ではあるものの、「予備知識なしでも楽しめる」「訳文も読みやすい」とのうれしい声も届いています。

手に取ってご覧いただけましたら幸いです。

投稿者:吉田奈緒子 ウルドゥー科1990年卒

本投稿へのご意見、ご感想等はこちらまで

,