国立民族学博物館准教授を務められた菅瀬晶子さん(アラビア語学科1995年卒)が本年3月31日に逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。
以下に菅瀬さんが文章を執筆された絵本と、菅瀬さんを偲ぶ講演会をご紹介いたします。
【本の紹介】月刊たくさんのふしぎ(2024年6月号)「ウンム・アーザルのキッチン」 福音館書店 菅瀬 晶子文 平澤 朋子 絵 定価810円

イスラエルに住むアラブ人のおばあさん、ウンム・アーザルは、大変な苦労をしながら子育てをしました。うれしい時もかなしい時も、彼女の力になったのは子どものころにおぼえた料理でした。文化人類学者の菅瀬晶子さんがウンム・アーザルの家族と3年以上生活して見たことをパレスチナの食文化をまじえながら丁寧に描いています。
紛争だけではない中東のふつうの暮らしの中で逞しく生きるウンム・アーザルの物語から、紛争地で生きる人々に思いを馳せていただければさいわいです。(作者のことばより)
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世界最大の児童書見本市であるボローニャ・ブックフェアの「BRAW Amazing Bookshelf 2025 – Sustainability: 17 Goals for a Better Future」 持続可能性をテーマとした応募作品の中から特に優れた150冊として選出されました。
選ばれた書籍は2026年初めにニューヨークの国連本部でも展示される予定とのことです。 入選作品が公開されたのは、奇しくも菅瀬さんが旅立ったその日でした。この快挙を共に喜ぶことができないのが残念でなりませんが、この作品がこれからも世界中の読者を魅了し、菅瀬さんのメッセージが未来へと受け継がれていくことを心から願っています。
Umm’ Azar’s Kitchen | Bologna Children BookFair | Exhibitions
※なお、月刊たくさんのふしぎ2025年3月号 「タサン志麻さんのにんじんパーティー」(福音館書店 定価810円)巻末のふしぎ新聞の見開き4~5頁に菅瀬晶子さんが「ウンム・アーザルとふるさとの村」のお話を寄稿されています。菅瀬さんも手伝ったオリーブの収穫など合わせて読んでいただくと人々の暮らしぶりがより分かりやすく伝わってきます。
【講演会】パレスチナ地名刺繍タペストリーについて――菅瀬晶子を偲ぶ(国立民族学博物館HPより)
企画展「点と線の美学——アラビア書道の軌跡」に展示されているパレスチナ地名刺繍タペストリーには、去る3月31日に亡くなった菅瀬晶子のイスラエルやパレスチナでの調査の思い出がこもっています。このタペストリーと彼女が遺した写真や文章から菅瀬晶子のフィールドワークの軌跡を辿ります。
[日時]:2025年5月11日(日)14:30~15:30(14:00開場)
[場所]:国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
[司会]:山中由里子(国立民族学博物館教授)
[講師]:相島葉月(国立民族学博物館准教授)
[定員]:400名(当日先着制)
[参加費]:無料(展示をご覧になる方は展示観覧券が必要です)
https://www.minpaku.ac.jp/ai1ec_event/58627
投稿者:服部(旧姓 杁山)さち アラビア語学科1995年卒