崎山 理 著
発行 風詠社/発売 星雲社
2017年11月9日発売
定価 本体1,300円+税
A5判 195頁
ISBN978-4-434-23732-4 C0095
【本の紹介:「帯」から】
言語学の第一人者による留学記、講演、追悼文(田島宏、寺村秀夫、泉井久之助ほか)、対談(初代姫神、湯浅浩史、片山一道)等を収めた知的興味を喚起するエッセイ集。
【内容:「まえがき」から】
書名の副題、七十踰矩は、論語「七十而従心所欲、不踰矩(七十にして心の欲するところに従い、則を越えない)」から逆説的にとったもの。本年2月、心のおもむくままに、しかし力を振り絞って、従来の日本語系統論を批判しつつ、新たな日本語形成論を上梓することができた。従来の研究方法、言語の混合と意味の分析に新風を吹き込んだという点では、十分に則を越えたと自負している。この書において、私は日本語形成における原点に立ち返り、日本語史の深淵を覗き見たような気すらしている。それは、はるかかなたにあって現代に微光しか届かなくなった現代日本語の揺籃期の姿が、私の形成論によってほぼ明らかにされたと言ってもよい。本書『日本語「形成」論―日本語史における系統と混合―』三省堂(2017)は、東京外語会HP会員頼り(2017年1月16日)で紹介させていただいた。
私は、「言語学」の殻に籠城し保身するような、狭く限られた言語学を潔しとしない。すなわち、言語のない人間文化はあり得ないと同様に、文化から切り離した言語も考えられない。その学問的影響は、長く勤務した国立民族学博物館における豊かな内的・外的環境から得られたことも大きいが、言語は文化の一要素としてしか考えられないというのが、私の学生時代から一貫して堅持してきたスタンスである。本書の内容は、私の来し方すべてを物語るものではさらさらないが、里程標にはなっているようだ。
【「目次」から】
留学・調査記
1 インドネシアに学んで
2 モロタイ島は遠かった―薄れゆく戦争の記憶
3 パプアニューギニア現地たより
4 ニューギニアの楽器とその音楽
5 絶滅したマレー語―南アフリカ共和国
6 日本語もうひとつの歩み
7 関西の人
報告・エッセイ・講演
8 言語学からの報告
9 マダガスカル語系統研究その後
10 消滅の危機に瀕した言語研究のこと
11 日本語のルーツの一つとしての南島語族
12 「中西コレクション」その後
13 退官講演 遥かなるオーストロネジアン
14 退官メッセージ―彦根、来しかた行くすえ
追悼文・伝記
対談
あとがき―ブンガワンソロ
諷詠社HP書籍紹介 新刊:ある言語学者の回顧録―七十踰矩―
投稿者:崎山 理 フランス語 1962年卒業