東京外語大・九条の会、本学大学院・中野教授による講演会開催

中野教授

1月30日(土)、イタリア・レストラン文流がテナントで入居している高田馬場F・Iビルで今年も「ミニ講演&ワインで交流会」と銘打った講演会と懇親会を開催しました。F・Iビルでの開催はこれで4年連続となり、もはや1月から2月にかけての定例行事と言っても過言ではないでしょう。今年は講師役を本学大学院の中野敏男教授にお願いして、「戦後70年を超えて『戦争民主主義』を考える」という、一瞬、首をかしげる人がいるかも知れないタイトルで講演してもらいました。

中野教授によれば、現在「平和主義・民主主義」の危機が叫ばれているが、日本の近現代史を振り返る時、〈戦争・独裁〉と〈平和・民主主義〉とは必ずしも堅固な対抗軸と言えないので、敢えて「戦後民主主義」ではなく「戦争民主主義」という演題にしたとのことです。明治期の自由民権運動においては大井憲太郎や福沢諭吉は植民地主義を通して民権と国権とを結びつけたし、大正デモクラシー下で自由教育を唱えた北原白秋ですらアジア太平洋戦争時には戦争翼賛へと歩み、その極めつけが「万歳ヒットラー・ユーゲント」の作曲でした。つまり、デモクラシーとナショナリズムが接合し、排除の暴力が国民を凝集させたことに注目すべきとのことです。そして戦後、確かに日本は直接武力を用いて他国を侵略するようなことはなかったものの朝鮮特需による復興、基地国家と呼んでも差し支えない状況等々は「戦後民主主義」の時代においても「戦争」が大きく影を落としていると言えます。従って真の意味での民主主義を実現するためには①冷戦期に続く戦争志向の清算 ②慰安婦問題などを含めた植民地主義の歴史の清算 ③「在日」、「沖縄」などに対する排除の論理の清算による「戦後の『戦争民主主義』からの、しっかりした転換」をなすことが肝要だと結びました。

講演終了後は、本会会員の西村さん(外I1956)が会長に就いておられる文流からケイタリングしてもらい懇親会に移り、いつものように近況報告、或いは感じていること・思っていることの表明などで有意義な時間を過ごしました。なお、6月4日には本学出身の作家・島田雅彦さんによる記念講演会を行います。(平成28年2月19日記)

投稿者: 鈴木俊明 スペイン科 1972年卒業