このたび久しぶりに翻訳書(原作ポルトガル語)が刊行されましたのでお知らせいたします。
書名 『K 消えた娘を追って』
著者 ベルナルド・クシンスキー 訳者 小高利根子
出版社 花伝社
定価 本体1,700円+税
発行 2015年10月15日
ブラジルの軍事政権下、軍部に拉致された娘を捜す父親Kの物語。ユダヤ系ポーランド人でブラジルに移住したKは喪失感と良心の呵責に苛まれながら娘を捜し求めます。
失踪者家族たちの訴え、娘や婿の手紙、軍部側の動き、そしてなんらかの形で事件に関わった人々の思いが、短編小説のような29の章で語られ、まるでひとつの合唱のように響き合って、少しずつ全貌が明らかになる、という筋立て。事実に基づいた小説です。
長年関わってきたアムネスティ・インターナショナルがこの事件にグローバルな救援活動を展開し、日本支部も設立後最大のキャンペーンを行ったことを「解説」に詳しく書きました。
・「ダブリン国際文学賞」(一作品に対する賞としては世界最大)ノミネート作品
言論の自由を完全に奪われたブラジルの軍事政権下で起きた出来事を、今の日本の状況と引き比べて読んでくださる方が一人でも多いことを願っています。
投稿者 小高利根子(旧姓 保田) 英米科 1968年卒