1.講演会
インダス会は、去る7月4日、午後3時に本郷サテライト4階会議室で、総会を開催。午後3時30分から、恒例の講演会を行いました。講演会には、他の語部出身の方や、外語以外の方も出席。定員30名の会議室は50名を上回る人で埋まり、外語会事務局から椅子を運んで対応する盛況でした。
講演は二本立てで、まず母校のペルシア語教授で、イスラム神秘主義研究の藤井守男さん(1977/昭和52年・ウルドゥー語卒)が、「シーア派とイランの動向」という演題でお話しました。イランを巡っては、核開発疑惑が持たれ、欧米諸国から長年経済制裁を受けてきました。しかし、この7月、欧米など6か国と歴史的な核協議に合意したことで、宗教国家の形態をとるイランの今後の動向、特に日本への石油輸出など、新たな経済貿易政策が日本の経済界からも注目されています。またIS(いわゆる過激派イスラム国)がスンニー(スンナ)派を信奉しているため、これに対抗するシーア派主導のイランの外交・軍事政策も関心を集めています。こうした背景を踏まえて、初期シーア派(12イマーム)の生成・発展経緯につい、最新の研究が紹介されました。また現在のシーア派指導部について、保守派と改革派の内部抗争の存在に言及する一方、宗教界指導部における中東世界への認識、特に対イスラエル観、対米国観について、ハメネイ師の興味ある発言「真の敵はムスリムの背後に存在する」を引用して分析しました。
次いで、母校アジア・アフリカ言語文化研究所で長年インド現代史を研究して来られた名誉教授・内藤雅雄さん(1964/昭和39卒ヒンディー語卒)が、「インド・パキスタン分離独立の背景」と題して講演しました。200年にわたり英植民地だった大インドが、「インドとパキスタンに分離して独立した要因」は、ムスリム(イスラム教)とヒンドゥー教徒との宗教対立だった、とする定説的な内部要因説が主流となってきましたが、これは英国側の自国擁護の分析であり、むしろ外部要因として植民地支配を続けてきた当時の英国指導者らの「分離」を目指す諸政策が微妙に影響したのではないか、とする研究を伝えました。
やや専門的な講演となりましたが、出席者の評価も高く、好評でした。
2.懇親会
懇親会は、講演会終了後の午後5時過ぎから、本郷3丁目の中華料理店「棲凰閣」で開催された。乾杯のあと、仙台、奈良、大阪など遠方から馳せ参じた方々の近況報告とご挨拶が続いた。久々に会う同級生や、先輩、後輩との会話が賑やかに続いた。母校漕艇部OB小室洋三氏が、応援の「フレー・フレー外語!」をコールし、来年の総会での再会を誓った。
3.講演会・総会参加者名(卒年順、敬称略)
福富 直明、中村平治、鎗田邦男、今岡 杲、浅川エリ子、神山 守、竹内可能、森 三喜、荒柴雅美、宮本吉範、河角栄夫、内藤雅雄、横田幸一、小寺大輔、清水俊彦、荒岡正寿、山崎恭平、森 稔男、三島昭彦、渡邉光一、瀧井光夫、石井冴子、真矢修弘、林 瑤子、関口昌甫、袴田國男、小室洋三、片岡弘次、中川憲二、根本昭彦、大隅国雄、玉木重雄、宮坂誠一、佐藤 勉、井上正幸、齋藤容子、景山咲子、小林玄一、白井 桂、藤井守男、萩田 博、藤井 毅、丹羽京子、水野善文、萬宮健策、内田祥夫、渡邊 一弘、友金 守(大阪外大OB)、
4.総会
講演会に先立ち、渡邉光一会長の挨拶があり、活動報告(会計報告)と近く刊行される会報23号の発行について紹介があった。
以上(2015年7月10日・インダス会世話人会)
投稿者: 渡邉光一 ヒンディー語 1966年卒)