第14回を迎えた東京外語会・関西支部の同窓会が、6月7日(土)に大阪弥生会館で行われました。
今回のハイライトは何と言っても、東京からお呼びした中島剣山氏(A昭40年)の中東に関する講演でした。ベイルートの大学留学時代の話を皮切りに、日本航空で欧州・アフリカを含む20年余の中東でのビジネス歴を持ち、現在は都内で真言宗瑞応寺の住職をされる中島氏が各時代の流れを「タテ糸」に、それぞれ異なる諸国事情を「ヨコ糸」に、自己の体験談を縦横無尽に織りなして、ユーモアとペーソスを交えて1時間の熱演。中でも、1975年、内乱下のベイルートで武装民兵の銃撃に遭って拉致・拷問を受け九死に一生を得た体験や、1981年のイラン・イラク戦争時に邦人救出のために特別機の手配を主導した時のことに話しが及ぶと、聴衆の関心と興味は最高潮に達しました。
16時半から始まった総会で、昨年に引き続き今年も来阪いただいた立石博高・学長から、大学間の厳しい競争時代を生き抜く母校の戦略として「人文社会科学に特化した単科大学を維持すると同時に、他の大学とのネットワーク、また、人と人との循環のネットワークを構築し、本学がその拠点(ハブ)となりたい」との抱負を披露いただきました。
懇親会は、今回は特別なイベントを用意しなかったにも拘わらず、大いに盛り上がりました。アミダくじによって各テーブル毎に突然にマイクを持たされた参会者から本番ぶっつけスピーチや歌が次々と飛び出し、食後の参会者の耳目を和ませました。
さて、今回の出席者数は、来賓と関東地区から馳せ参じていただいた有志の方も含めて60名弱。総会の挨拶で当会の三村正治・支部長(C昭41)が指摘したように、ここ3年間で毎年10名ずつ減っているのです。まさに「同窓会の存在価値が問われている」由々しき問題です。クラス会ならともかく、異なった世代をまたぐ会合は、よほど最大公約数的な話題が無い限り吸引力に乏しいのでしょうか。あるいは、もっと根本的な問題として、東京外語大の卒業生が特に母校愛に欠けているのでしょうか。どうやら、これは関西だけの問題ではなさそうですね。総会で挨拶された「東京外語会」本部の上原尚剛・理事長(スペイン語34年卒)によれば「母校の卒業生約3万4千人のうち、7割近い卒業生が外語会の非会員である」とのこと。「たかが同窓会。そんなに目くじら立てなさんな」とおっしゃる方もおいででしょう。でも、14年間に亘って関西支部に関わりを持ってきた私に言わせれば、「されど同窓会」なのです。どうせやるなら、「ああ、良かったな。また来年も….」と言われる会にしたい。そして、赤字になるのは困るので、最低の目標数の参会者は確保したい—老幹事の悩みは尽きません。
投稿者:橋野 博 ドイツ語昭36年