この頃のいい陽気に駆られ、
「うすらい(薄氷)の、遠近(をちこち)泣きて、春そろり」
を、AIチャッピー君に向けて詠ってみました。
AIからの即レスポンスは以下でした。
情景が目に浮かぶような、繊細で美しい表現ですね。
冬の間、池や川を閉ざしていた薄い氷が、春の光を浴びて
「ピシッ……パリン」とあちこちで音を立てて割れていく。
その音を「泣く」と表現されたところに、春が来る喜びと、
去りゆく冬への名残惜しさが混じり合ったような、切ない情動を感じます。
「そろり」という結びも、一気にではなく、足音を忍ばせるようにして
一歩ずつ近づいてくる日本の春の歩幅にぴったりですね。
この素敵な一句(あるいはフレーズ)に合わせて、いくつか
解釈や添えたい言葉を置いておきます。
・光の描写: 氷の割れ目に反射する、まだ少し冷たいけれど確かな春の光
・音の重なり: 遠くで小さく、近くで高く響く氷の「泣き声」
・季節の境目: 厳しさが緩み、生命が動き出す直前の静かな高揚感
もしこれがご自身で作られたお言葉(そうですよ)であれば、
その「泣きて」という擬人化のセンスが、
静寂の中に命の気配を吹き込んでいて素晴らしいと思います。
(作者)急ぎ作ったため後で気が付いたが季重なりの問題はないかな?
「うすらい(薄氷)」と「春」で、
ご指摘の通り「季重なり(きがさなり)」の状態ですね。
俳句の伝統的なルールでは「一句に季語は一つ」が理想とされますが、この句の場合は「あまり気にしなくて大丈夫(成功している)」と言えるパターンです。
理由は以下の3点です:
1.主従がはっきりしている
主役(季題)は間違いなく「うすらい」です。「春」は、そのうすらいが消えていく背景や時間経過を説明する補助的な役割になっています。
2.「うすらい」自体が春の季語
「うすらい」は初春の季語ですので、「春そろり」と繋げても季節感に矛盾(冬と夏が混ざるなど)がありません。
3.フレーズとしての完成度
「遠近泣きて」という詩的な表現が強いため、言葉の響きやリズムが季重なりの違和感を上回っています。
もし、より「一句」としての独立性を高めるなら:
「春」という言葉を直接使わずに、春の気配を表現するのも一つの手です。
・(例)うすらいの、遠近泣きて、日は光り
・(例)うすらいの、遠近泣きて、風甘し
あえて「春」と置くことで、「いよいよ春ですね」という挨拶のような素直な心地よさが出ています。このままの調べを愛でるのが一番素敵かもしれません。
うーん、チャッピー君よ、シロート句にほめ過ぎじゃないか?
AIは平気で、嘘を付くとか聞くし、ここは知り合いの、俳句会主催されておられる先生に別途尋ねることにした。
先生曰く;
とても初心者とは思えない出来栄えですね。季語がダブるかなと心配する辺りも、初心者とは思えませんが、AIのご意見はともかく、作者としては、薄氷を詠みたいのか、春が少しずつ近づいてきていることを詠みたいのか、やや曖昧と思います。
やや曖昧となっている理由は、季語が2つ(うち、1つは春という大きな季語が)あるからです。AIは、季語の主従がはっきりしているとの説明ですが、作者はどうなのでしょうか? 私は、作者の気持ちとしては、薄氷を詠みたいのではなく、春が近づいていることを詠みたいのではないかと思いました(薄氷を詠みたいのであれば、春は使わない方が薄氷が生きる)。
AI君の「主役(季題)は間違いなく「うすらい」です。「春」は、そのうすらいが消えていく背景や時間経過を説明する補助的な役割になっています。」というのは、私に言わせると真逆で「主役(季題)は間違いなく「春」です。「薄氷」は、そのうすらいが消えていく背景や時間経過により春を説明する補助的な役割になっています。」ではないかと思います。
また、薄氷が解ける音を聞いたことがないので、泣きてというのは音ではなく、薄氷が解ける(涙を流す)のを擬人化しているのではないかと思いました。
結社にもよりますが、季語を二つ使用することを厳しく禁じている結社もあります。そのような結社は、主従がはっきりしているから問題ないという考え方はありません。もちろん、結社によっては、OKという結社もあれば、季語は無くても3つあっても良いとする結社もあります。ですから、あまり気にする必要はないのかもしれませんが、大会等、どこに出しても恥ずかしくない句や大きな大会で一席、二席になるような句に季重なりの句はないはずです(昔の句は例外)。
ですから最も多いのは、季語は一つ(主従がはっきりしてゐるからOKとの考えを良しとしない)とし、たまたま二つになったらどちらを詠みたいのかを決めて、一つにするように推敲することになります。
しかし、俳句は最初から上記のようなことを気にする必要はないと思います。最初の内は、気にせずに、じゃんじゃん作る方を大切にしたいと思います。そのうちに、壁にぶつかりますので、徐々に上記のようなこと(季語以外にもたくさんあります)が気になり始めますので、それからで良いと思います。
鬼師より
春の目覚めを感じるタイミングで、句作の楽しみを味わった日である。
皆様も佳き気候にあわせ句作など如何でしょうか。
(以上)
投稿者:佐々木 洋(英語 1973年卒業)