(1)宮中月見
今般,なつかしい髭の殿下、三笠宮殿下の三笠宮家ご当主になられた
彬子女王殿下は、日本伝統文化の普及に御熱心。
知らないことがあれば、自ら出かけて納得するまで探求される。
好感度爆上がり中。今回は「お月見」の伝統について教えていただく。
「月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」
公家の子女の成人儀礼として「月見」行事があった。伝統的に旧暦6月16日に16歳になる子、男子は脇ふさぎ、女子は鬢そぎの行事をするとのこと。
お月見って(旧暦)六月だったの?!
その日の夜、お饅頭をお供えし、お饅頭の真ん中に萩の箸で穴を開け、その穴から月を眺める。宮中特注の望遠鏡かいな
そのときに小声で、上記句を三度唱えると言う。
元もとは厄除けの行事としての嘉祥の日、旧暦6月16日は、疫病が流行したことから、848(承和15)年6月16日に元号を嘉祥と改め、蒸菓子をご神前に供え、厄除けの御祈願をされた。宮中では、水仙(葛切)と蒸菓子7種がお供えされ、江戸幕府では、お目見え以上の大名・旗本が総登城し、「嘉祥頂戴」として菓子与える行事。同じ嘉祥の日でも、朝廷と将軍家では様相が異なる。
この日の夜に行われたのが、お月見の始まり。
慶応3(1867)年6月16日、明治天皇もお月見をされた。
菓子司 虎屋には、有名な和宮様が万延元(1860)年6月16日に「御月見御用」として、月見饅を注文された記録があるそうな。
えらいもんだ、虎屋さん、銀行が現金伝票等残しておくのと同じように購買伝票を残すとは、でも何年保存するの。江戸時代まで遡っては倉庫がすぐに満杯になるのでは。(余計な心配かしらん)
和宮様以降、注文がなかったというこの月見饅。
彬子女王自身が、どうしても、お饅頭から月を覗いてみたくて、数年前の中秋の名月の日に虎屋にお願いして作ってもらったとか。困ったお嬢様だこと。
こんな素敵な行事があることをたくさんの方に知ってほしいとのメッセージのようだ。
宮中でのお月見は、旧暦6月16日。月そのものが美しい、1年で最も美しいのが旧暦8月15日の中秋の名月である。秋の月見にもこの行事を広めたい、が、女王の願いのようだ。
(2)中秋の名月や 満月の事
ややこしいのは、中秋の名月が必ずしも満月の日に当たらないことかな。
中秋の名月は1日(無月=新月)から数え15日目。
天文学的満月には、月の地球公転が、楕円軌道のためスピードによっては15日目とならず、14日から16日目と幅がある。
その為の差異が生ずる。なんとなくわかるぞ。
今年2025年は、中秋の名月(旧暦8月15日)は、10月6日(月)。10月の天文学上の満月は、翌10月7日(火)になるそうだ。十五夜って9月15日じゃないの?!
9月15日が中秋の名月と覚えた記憶があって、この差を理解するのに時間がかかった。正味まだ理解できていない。
アメリカでは、10月の満月をハンターズ・ムーン(狩猟)乃至
ハーヴェスト・ムーン(収穫)と呼ぶようだ、狩猟と収穫の、実りの秋、豊饒の季節を言い表すいい表現。
思い出すのは、10月に入ると米国工場の鉄砲自慢達がいそいそし皆で休暇願をもってきては、ディアハンターに化ける。
大物仕留めると、車の後ろに荷台をつけてさあ見てくれとばかり何度も町中見せまわる。
ハンター達それぞれの鉄砲自慢話が夜通し続きバーボンが数えきれないくらい空っぽになる。明日は無事出勤してくれよと願うのみ。
ハーヴェスト・ムーンの表現はまさにミズーリ州など米国中西部草原に秋到来、豊穣の季節の表現ー秋分過ぎた初めての満月を謂う。
しかし今年は10月が十五夜とは気が付かなかった。
天文学の先生からは以下説明頂く、
2025年の「ハーヴェスト・ムーン」が最大を迎えるのは、10月7日(火)の12時48分頃→なんと昼の満月か!。昼は満月は見えませんとの事、残念!!
最大になるのは昼間の時間帯ですが、前日6日の夜から7日の明け方にかけてと、7日の夜から8日の明け方にかけての前後二晩にかけてほぼ満月に見える、
「中秋の名月」は明日十月六日(月)です。
1年で最も月が綺麗に見ることができる日。中秋の名月は、毎年満月とは限らないものの、ほぼ満月に近い丸い月が見られる。
モット早く言ってよ、先生。
また今年の 中秋の名月の夜を見上げれば、たまたま(?)惑星 土星が接近する頃だそうです。
満月と土星による秋夜デートを楽しみましょう。
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硝子戸に うつる月見の 団子かな(山口青邨)
お月見(中秋節)発祥の地、中国本場では家族そろってお月見、月餅を食べる習慣、ほほえましい。
お団子食べようが月餅食べようが、月を見上げてあれ兎が餅ついているとお祝いするのは誰も嬉しいひと時じゃ。
さて今回は昼間に満月になると、学者先生の教え、
昔、金子みすゞさんが
「シャボン玉みたいな月、
風が吹けば消えそうなお月さん」
と昼の月を歌ったが、探してみようか。満月は夜のみ、昼は見えないが。
投稿者:佐々木 洋 英語1973年卒