今年の夏の異常さは想像以上だ。
避暑に北海道行き敢行でもと思えども、北見方面は40度を超す暑さだ。こんな時は、花火大会にでも繰り出そう。
先日、立川昭和記念公園の花火大会があり出かけた。
薄暮のような7時15分から、ドローンのパフォーマンスの後大ぶり花火の連続打ち上げに観客の感激、驚きの声は止むこと知らずだった。
闇夜を照らす大玉の花火は余韻を伴い、おもわず亡くなった人たちの笑顔が間近に蘇る。爺様、ばあ様、お袋、親父、叔父さん叔母さん達に義姉さん。子供の頃、若いころに接したそれぞれのお若いままの笑顔が迫ってくる。
バ・バーン、パラパラと後に引く花火音のなんと切ないことか。何時までも残像が残り寂しくも楽しいひと時だった。それぞれの方と過ごした日々がこれでもかと追いかけてくる。
話は飛ぶが、昔、アメリカ中西部、ミズーリ州の片田舎人口1万6千人の大学町での7月4日独立記念日の夜、町が花火を打ち上げるというので工場仲間とアパートの中庭で待っていたら、悲しいくらいの小さな花火が、ぱーーーん、ぱーーーん。大都市と違って打ち上げる時間も短く30分ほど。寂しく終わった。日本の花火の華やかさが判る。
花火は日本の文化でしょう、江戸の昔から。隅田川、両国花火、浮世絵にも多く描かれる。葛飾北斎の両国花火図もある。
たまさか今年は葛飾北斎と娘さんで女性絵師の応為(おうい)(画号、三女のお栄さん)が話題にのぼる。NHK 大河ドラマ「べらぼう」で版元蔦屋重三郎と若き日の葛飾北斎のクロスするシーンが期待できるという。楽しみだ。「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」、「北斎漫画」など奇才天才北斎を、改めて勉強する絶好の機会となろう。知らなかったが、娘のお栄さんが、北斎工房では200名ほどの男の社会というが、作品の大事な部分を受け持ち、美人画では、親父の北斎もかなわないと言わせたという画才の持ち主だそうだ。
北斎後期の絵を見ると、応為のそれとうり二つに驚かされるという。あの時代にも英才教育があったのだろうか。
渋谷区の太田記念美術館では,応為の代表作「吉原格子先の図」が見られる(設営企画は不定期、要確認)。オランダ商館長カピタンはじめシーボルトも驚いたろう才能、西洋画に劣らない陰影を使い、江戸遊郭の夜を描き切った名作に仕上がっているとか。お栄さん、女だてらに吉原遊郭迄出かけて御女郎さんたちの姿をたっぷり見学、作品に生かしたようだ。
同美術館説明によれば、酔客たちの手に持つ提灯、妓楼の室内灯、いくつもの光源が画面内に正確に描かれ、光に照らされた人々の姿が闇の中で見事に浮かびあがってくる名品。美しく施された色彩、グラデーションが見られ卓越した応為の筆致が楽しめるとのこと。うーーん、知らなかった。
聞けば、10月17日から映画「おーい応為」が全国で公開される。今旬の、長澤まさみさんが時代劇初主演となる作品とか。独り酒も煙草もスパスパのお栄さんだ、長澤まさみさんお似合いの役だろう。楽しめそうな映画ですね。
画号の「応為(おーい)」は、お栄さんが親父殿北斎を工房で呼ぶときに、いつも「おーい、親父殿」と呼んでらしたことから来ているとか。
さもありなん。。。
投稿者:佐々木 洋(英語 1973年卒業)