蛍ひかり飛ぶ季節に


アジサイの季節到来とともに蛍の季節にもなるらしい。
72候暦では、「腐草為蛍」(かれたるくさほたるとなる)が今の季節を知らせる。
蛍ワールドは、源平合戦。
ゲンジボタルにヘイケボタル。(ヒメボタルも忘れませんよ)
ゲンジボタルは、東日本に多く、ヘイケボタルは西日本に多いというが、水田や池(タニシ、カワニナとエサも多い)に平家ボタル、澄んだ川の流れあるところ(カワニナしか食べない)に源氏ボタルが多いが実感でしょう。
人類はえらいもんだ。古生物学者チームが、9900万年前の化石(琥珀)から、現代蛍の祖先を探し出してきたらしい。
ということは、1億年前も前から、蛍は地球上を優雅に飛び、恐竜時代、あのティラノザウルスの活躍を、光を放ちながら見ていたのかもしれない。
今見るゲンジやヘイケボタルのDNAには、ティラノの残像が残っているのかと考えると眠れなくなりそうだ。
世の蛍博士たちに聞くと、ゲンジボタルは北海道にはいない、青森以南に住む日本固有種と仰る、ヘイケボタルは北海道から九州まで(さらに大陸迄広がっているらしい)。
その説明だと、北海道の河川環境が、ゲンジボタルにあわないとか。
それって本当ですか?
あの美しい北海道の自然からは納得できませんよ。
観光ブームで、沖縄と並び日本人だけではなく今じゃインバウンドの外国人まで、沖縄・北海道をエンジョイされている。
環境的に本州と北海道の河川状況に差があるとは思えない。
むしろ大陸的な広大な環境の中で北海道の河川状況は本州よりもいいと言えるのではないか。
何故ゲンジボタルは、北の国に住まないのか?
「北の国から」の蛍ちゃんが泣いている。

蛍の祖先が、9900万年前にこの地球上にいたということは、日本列島が、大陸から分離・日本海が出来てくる、そして日本列島の最終形が決まってくるプロセスの中で、蛍たちも光り飛んでいたわけだ。
その時、本州青森と南北海道は、ほとんど同じプロセスで大陸から分離する。
地理学上の差異は感じられない。
その時は津軽海峡が邪魔になって、源氏蛍の祖先が青森(本州側)に限定される理由はなさそうだ。
考えると眠れなくなりそうだ。

仙台の「みずの杜水族館」のお兄さんは、蛍の命名の件で面白いことをおっしゃる。
体長はゲンジボタルの方がヘイケボタルより長い(大きい)、(源氏15mm、平家7mm)。
蛍命名の時は、ほぼ江戸時代という予測でその際、源氏に心酔していた徳川家康(愛読書が吾妻鏡)に忖度して大きい方のほたるを源氏としたという。
皆さんはどう思われますか?

源平合戦は、人の世の話。
蛍ワールドでは、源氏も平家も(そして姫ボタル)も、自分たちのテリトリーをお行儀よくすみ分けているそうです。
人間の欲で、本来済まないエリアに、その蛍たちの本来の生活と違う強引な移入が行われているという。(国内外来種の移入というらしい、不勉強で知らなかった)
蛍たちは、自分たちの住まいを環境とエリアを決めていらっしゃる。
多分一億年前から。幼虫時代は肉食(カワニナ食)から一転
成虫になれば、食せず水だけで光り輝く潔い蛍生。
2000年ほどの短い歴史観のわれわれ人類は余計なお邪魔などせずに、彼らの光人生を傍で静かに見守ろうじゃありませんか。

投稿者:佐々木 洋 (英米語学科 1973年卒業)

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