
東京外語大・九条の会(略称「外大9条の会」)は2007年6月に発足しましたが、爾来18年にわたり会報中心の活動を展開してきました。そして、毎年、発足した6月前後に年次総会を開き、併せて記念講演も開催してきました。歴代のスピーカーには作家の島田雅彦氏、コメンテーターの吉永みち子氏など本学出身者も含まれています。
今年は5月31日(土)午後2時から4時、昨年と同じ府中キャンパスの本部管理棟2階の大会議室で非会員も参加可能な記念講演(入場無料、予約不要)を開催しますが、講演者には著名なノンフィクション作家・書評家の保阪正康さんにお願いすることになりました。
今年、2025年は「戦後80年」とか「昭和100年」とか言われていますが、保阪さんに言わせれば、両者の間には大きな違いがあるとのことです。つまり、「戦後80年」と言った場合には太平洋戦争終結からの80年であり、この間は現代史とも言われています。一方、「昭和100年」と言った場合、ポツダム宣言の受諾といったエポックはあったとしても近代(明治元年から昭和20年8月まで)の終末期が含まれていた連続した100年と捉えることができ、この間には「戦争で失ったものは戦争で取り返す」といった戦間期の思想が存在していました。保阪さんの講演は「昭和100年」を超克して、一応は戦間期の思想からは自由になった「戦後80年」が本当にそのように機能しているのか、つまり「軍事や人命・弱者への配慮をめぐる歴史認識、近代史の誤りを整理して現代史がそれを克服しているかを考える」といった内容です。
折角の機会です。お時間が許されるなら、是非保阪さんの講演をお聴きになっていただければ幸いです。
なお、昨年12月、本会発足のきっかけとなった『東京外語会会報』#109(2007年2月1日発行)の巻頭言で「平和憲法を世界に輝かそう」と訴えた元「文流」会長の西村暢夫さんが逝去されました。西村さんからは本会の発足にあたり多大なお力添えを賜り、また発足後しばらくの間、本会代表としても活動されてきました。謹んでご冥福をお祈りします。
投稿者 鈴木 俊明 スペイン語1972年卒