新刊紹介『エミリーの思いを継ぐ―母娘の献身と偉大なアメリカ女性詩人の遺産―』


生前は限られた人にしか知られていなかったエミリー・ディキンスン(1830-86)の詩を、最初に世に知らしめるべく尽力した、メイベル・ルーミス・トッド(1856-1932)とその娘ミリセント(1880-1968)に関する研究書(伝記)を翻訳しました。二人は時代に埋もれることを嫌い、精力的に活動した人物です。とくにメイベルは編集者、講演者、エッセイスト、環境運動家(レイチェル・カーソンの『沈黙の春』で言及)であり、夫の皆既日食観測に同行して二度ほど来日を果たし、その体験を記事にしています。母との葛藤があったものの、エミリー関係の編集の仕事を継いだミリセントは、エミリーの詩や書簡などの遺産がアマーストに戻るために奮闘しました。メイベルの生き方については賛否があるものの、エミリーの詩の普及の背景にはこのような女性が存在したことを知っていただきたいと思います。

書名:『エミリーの思いを継ぐ―母娘の献身と偉大なアメリカ女性詩人の遺産―』
著者:ジュリー・ドブロウ
訳者:梅本 順子
出版社:図書新聞
定価:本体3800円+税

投稿者:梅本(萩原)順子 英語 1979年卒業

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