村山則子さん(ペンネーム:村山りおん、1968年本学フランス科卒)が「雲井の余所」というタイトルの新刊書を出されました。
雲をつかむような(物語の展開予想の出来ない感じの)クラシックな題名です。従来からの(古い?)「家制度」が崩れ、個人主義的で自由な家庭生活が一般的になって来た現代社会において改めて「血縁とは?地縁とは?人間関係とは?」などいろいろ考えさせられる本
です。「他人の空似」とそれに重なる懐かしい面影。人生で繰り返される出会いと別れ。「過去の抜け殻」とも言うべき思い出、そして思い出は、やがて雲の彼方に。
話しの進展と共に徐々に明かされていく登場人物の人的背景(背負って来た運命的過去)、現在、そして時々の心理状況など興味深く読むことが出来ます。キエルケゴール(デンマークの哲学者)が言ったように、物事はすべて「関係」(無関係も含めて)で示され、繋がっているのかも知れません。是非、ご一読をお薦めします。
村山さんは「石の花冠」で2008年、審査員先生方の一押しで第5回小島信夫賞を受賞されています。その後東京藝術大学大学院(音楽文芸)で学術論文などを纏められ、修士号、博士号も取られています。又、絵画の方も個展を開催されるなど多彩な方です。今回の新刊図書の表紙絵もご自身が描かれたものです。
尚、本書をご希望の方は下記村山則子さんにご連絡いただくか(rion@h4.dion.ne.jp)、書店でお買い求め下さい。
「雲井の余所」(村山りおん著)作品社刊 定価:1,400円(税別)
投稿者: 金澤脩介 フランス語 1968年卒業