「現在のロシア、イデオロギーなき ミニソ連!」斎藤氏 吠える
2018 東京外語会・関西支部総会 開催
毎年6月上旬に開催している外語会・関西支部総会が、今年も6月3日の日曜日に大阪のリーガロイヤルホテルで行われ、総勢45名が出席。立石学長、長谷川理事長、旧大阪外国語大学同窓会「咲耶会」の少徳会長、井上副会長、大水副会長、東京から樽井副会長に出席いただき、盛大に行われました。
今回の講演は昭和47年ロシア語卒の斎藤 勉さん(産経新聞社副社長・大阪代表)による『ソ連の呪縛と世界 ~「独裁者の時代」をどう生きるか~』
講演の直前に、壇上にプーチン、トランプ、習近平、金正恩の面々(?)が飛び出して来て、ずらりと立ち並び(写真参照)、講演前の斎藤さんにユーモラスな威圧を加えました。
お話の前半は、ソ連からロシアに変わった折のモスクワ特派員時代の体験談が中心。 当時、外務省から同地に派遣されていた、あの佐藤 優氏との交流模様や(彼から提示されるアポイントは何時何分、どこそこでという分単位のもので、少し時間がずれると、既に他の場所に移動してしまっている神出鬼没ぶり)、また、現地の情報機関からのいやがらせ(車のタイヤをいっぺんに4本パンクさせる)(単身赴任の齋藤さんが自宅に戻ると、「お前を見張っている」と言わんばかりにテレビと花瓶の位置が変わっている、地震のないロシアなのに本棚が倒れている)とか、記者としての苦労が窺えるエピソードを披露されました。
後半は、今回の講演のタイトルを踏まえ、ソ連時代の独裁者スターリンが行なった他国への数々の干渉(北朝鮮建国時の金日成の擁立、中国建国時の毛沢東へのチベットを取れとの指示)の根底にある彼の思想の流れが、これら両国に今でも連綿と続いている。更に、その呪縛たるや世界中に拡がっていると指摘。従って、我々日本人にとっても、今はまさに「日本の岐路」というべき重要な時であると警鐘を鳴らされました。そして、今のロシアのプーチン大統領は、二つの帝国の崩壊(KBGの長女といわれた東ドイツの崩壊と、ソ連の崩壊) を経験し、ソ連時代の領土を取り戻し、ソ連の栄光を復興させるのを目標とした「イデオロギーなきミニ・ソ連」を運営しようとしているとのことでした。
また、今後注目のキーワードとしてGRU(グルー)という、ロシアの軍の情報機関の名前を挙げられました。かつてのゾルゲ(ゾルゲ事件の)が属していた組織で、現在はサイバー攻撃を行ったり、領土問題を管轄する機関で、スローガンは、「領土は血。1mmといえど、与えない」だそうです。北方領土の一部でも返還するかもしれないという淡い期待を抱いている筆者には頭から冷水のご指摘でした。
講演の後、来賓のご挨拶をいただきました。
御堂筋線の延伸による阪大の外国語学部の移転で、新しいビルの中に「大阪外国語大学」の記念コーナーが出来ることを非常に喜んでおられた「咲耶会」の少徳会長のお姿が印象的でした。ただ、そのための寄付金にご苦労されてもいるとのことで、会長は我々外語会のお知恵拝借とおっしゃいましたが、正直、耳が痛いハナシではないでしょうか。
立石学長からの挨拶は、任期の終了が近く、今回が最後のご挨拶になりそうだということでした。もう五年だそうで、就任の時から、欠かさずご参加いただき、感謝の念に堪えません。初参加の折は、温厚な学者さんのイメージが強く、タフネゴシエーターとはお見受けしませんでしたが、年々貫録を増し、今回は、文部科学省からの補助金削減に何とかして立ち向かう(理系の大学では、研究施設を貸し出したりするだけで、かなり潤うが、外大ではそれも望めず、研究内容の真剣勝負になるとのこと)「戦う学長」の雄姿に接し、もし出来れば、お引き止めしたいとの気持ちが強くなりまた。まあ、卒業生としては、多少の寄付で勇退する学長への「はなむけ」ということになるのでしょうか。
最後に、今回の特筆事項として、今春の卒業生の参加があったことです。京都の企業に就職したラオス語の大橋さんで、この夏には、平成の会の催し物「夏の大人の外語祭」を大阪梅田で行うとのアナウンスメントがありました。【2018年8月4日(土)18:00スタート@ツェープラス(梅田)】フェースブックを活用しての集客だそうで、若者らしい企画になりそうです。間近かになりましたら、またこのメルマガを通じてもお知らせすることになります。平成の会とはいうものの、昭和のメンバーもウエルカムとのこと。ご参集いただけば幸いです。 お問い合わせ 大橋氏 メアド 大橋聡平 tufs.0408.os@gmail.com
投稿者: 幹事・石田 眞 中国語 1975年卒業