-北方領土返還交渉に頑張る首相にも読んで欲しい「現場ロシア論」-
■本の概要
著者:菅野哲夫
発行:東京図書出版
発売:2017年3月24日
定価:本体1,500円+税
判型:四六判 226頁
購入:書店・アマゾン
(直接の場合のMail先:sugano_tetsuo@mac.com)
ISBN978-4-86641-045-6
■本の帯文で強調したこと
もう少しロシアを知ろう!
* 日本凌駕の可能性を秘めた潜在力豊かな国
* 神秘的で、強いボス、コネ、集団性気質の国
* 掛け声だけでビジネスは動けない国
* 一強手法の領土問題解決は両国民の為ならず
ロシアは近くて遠い国。何でもあるが、何が起るか分からない国。そのロシアと難問(平和条約・北方領土問題)解決に向け、昨年来安倍首相が一生懸命だ。だが、マクロの知識はあっても、ミクロやソフトの現場感に問題おおありだ。こうした日ロ間のギャップを埋めたい。これがこの本を書くに至った動機だ。
■本の「はじめに」で書いたこと
いまなぜロシアか?
ロシアは近くて遠い国。何でもあるが、何が起るか分からない国。そのロシアと難問(平和条約・北方領土問題)解決に向け、昨年来安倍首相が一生懸命だ。平成28年9月2日~3日ウラジオストックで開催された東方経済フォーラム2016で、安倍首相はプーチン大統領に次のように呼びかけた。
1. ウラジオストクをユーラシアと太平洋を結ぶゲートウェイにしましよう。
2. ロシア産業の多様化を進めて生産性を上げ、ロシア極東地域を、アジア太平洋に向けた輸出の拠点にしましょう。
3. あらゆる困難を乗り越え、日本とロシアがその可能性を大きく開花させる世界を、次の世代の若い人たちに残していこうではありませんか。
4. 無限の可能性を秘めた二国間関係を未来に向けて切り開くために、私はウラジーミルと共に、力の限り、日本とロシアの関係を前進させる覚悟です。
懸案の問題解決を念頭においたスピーチ。これを聞いたプーチン大統領の評価は「シンゾーは演説が上手だ」。この評価には「口先上手」の裏の意味もある。ロシアの知識、体験、現場感覚などの欠如。マクロやハードの知識は十分でも、ミクロやソフトの理解はどうか。
筆者の母校山梨県韮崎高校の校訓は「百折不撓」。安倍首相の対ロ政策はそれを地でいくようで頼もしい。しかし現場感覚なき「百折不撓」は問題複雑化の因ともなる。実は、ノーベル賞大村智博士も同窓である。筆者は昭和38年3月卒業時「知事表彰(賞状と時計)」を受け、大学でロシア語を学び、東京銀行・在モスクワ日本大使館、みちのく銀行・欧州復興開発銀行で、ロシアと付き合い共に歩んできたビジネスマンである。
本書は、筆者が40年以上ロシアビジネスに従事し、ロシアに生活し、ロシアの国や人々とおつき合いやビジネスを行い、それら現場で見聞きした実際の体験・知見を集大成したものであり、筆者の人生そのものを凝縮した1冊でもある。
安倍首相が北方領土問題の解決を目指し、問題の解決に奮闘すること自体まことに喜ばしい。しかしあまりにも「現場感のない対応ぶり」に筆者は困惑し、落胆。こうした当然ともいえる認識ギャップを埋めたい。『現場感のうえに立ったロシア書』を書いてみよう。これがこの本を書く動機になった。
まず、ロシアの自然・国土・人口・寿命・主要経済指標を日本と比較し、ロシアの強みや弱みを探る。ついで、ロシア人の源流と国家の成り立ちから現在のロシア連邦誕生に至るロシア史を概観し、転じて日本との関係、とくに漂流民のロシア人との出会いの史実を訪ねる。加えて1998年ロシア金融危機直後に実現した邦銀初のロシア現地法人設立物語など、日ロビジネスの現場を語る。最後に「ゴルバチョフ登場から現在に至るロシアの主要出来事を概観し、そのハイライトとして、今次の日ロ間の「北方領土問題交渉」のポイントにつき、現場的視点に立った解説を試みるという構成・章立てである。
この本が、ロシアに興味を持ち、ロシアを知りたい,ロシアとビジネスをしたいと思っている研究者、ビジネスマン、学生、ロシアを少しでも知りたいと思っているひとたちに、『現場ロシア論』をお届けするという目的が若干なりとも果せたら、望外の幸せである。
投稿者: 菅野哲夫 ロシア語 1967年卒業