外大9条の会、10回目の年次総会。記念講演は島田雅彦さんで

9条の会2016年6月島田雅彦氏

早いもので東京外語大・九条の会は節目となる第10回年次総会ならびに記念講演を昨年に引き続き、外大の府中キャンパス(研究講義棟115大教室)で6月4日(土)午後1時から開きました。総会では、09年以降本会を代表して活動している涌井さん(外C1971)から昨年度の活動経過ならびに収支の報告に続き本年度の活動方針・予算案が提示され、これらも報告事項同様拍手承認されました。

午後2時からは本学出身の著名な作家、島田雅彦氏をお招きして「戦時下の想像力」という演題での講演が行われました。島田さんは舌鋒鋭く、かつユーモアたっぷりと現行憲法擁護を謳い、壊憲の動きを厳しく批判し、“ジジババサヨク”にエールを送りました。
氏によれば、現行憲法は単にユートピア的理想を謳ったものでも、時代の要請に応えられなくなった過去の遺物でもなく、日本が歩むべき未来に即した極めて現実的な指針たり得ているのです。すなわち日本が自国のことのみならず他国の戦後復興、人道支援にも貢献し、「世界の赤十字」たらんとしてきたことで獲得できた世界的信用は大きな財産であり、これは現行憲法が掲げている平和主義に因るところ大である、だから「平和ボケ」と自嘲する人たちが言うように現行憲法を壊憲した場合に失われる信用を計算すべきである。
しかも敗戦後70年が経過して、自民党は憲法を改定することで矛盾解消を図りたがっている。その理由として自民党が掲げているのは、現行憲法は連合国軍の占領下で同司令部に押しつけられたものであり、国民の自由な意思が反映されていない、という主張だ。この押しつけ論が出てきたのは、自衛隊が発足し、アメリカが日本を極東における反共防波堤に仕立てるべく再軍備をさせるようになった頃、つまり1954年あたりからだ。自衛隊と憲法の矛盾はアメリカの政策転換に起因するのである。現行憲法を押しつけだからといって改めようとするくせに、同じ押しつけである日米安保条約は頑(かたく)なに守ろうとする。ほとんど日米安保を憲法の上位に置こうとする政治方針と映る。
その上で小説家らしい言い回しで人工知能(AI)を巡っての見解を述べています。曰く、AIは学習能力があり、人間と違って過去の過ちを繰り返さないので、現行の与党政治家たちの国会内での投票行動を見るとAIに任せたほうが良い場面が多々出てくる。にもかかわらず人間には未来を「良い世に」という理性があり、たとえAIが人間を超えるようなことがあっても、人間はAIに次ぐ第二の種としてまだまだ捨てたものではない。そのためにも劣化した理性、虚栄、欲望など、人間のネガティブな部分を研究する必要がある、と。

午後5時から場所を変えて、大学会館内の「ホールダイニング」と呼ばれる円形食堂で懇親会が行なわれました。島田さんにも乾杯の発声までこの懇親会に付き合ってもらいましたが、60年代末から70年代始めにかけての外大の荒廃ぶりなどを、当時をよく知っている会員が島田さんに説明していました。懇親会は午後7時にお開きとなりましたが、その後二次会・三次会に繰り出した参加者もいたようです。

先日の参院選の結果、改憲勢力が3分の2を超える事態となってしまいましたが、私たちは決して諦めた訳ではありません。これからも外大内の「安保保障関連法案に反対する大学構成員有志の会」などとも連携しながら、粘り強く戦後民主主義を維持する活動を展開する所存です。こうした状況下、私たちの活動にご興味のある方は是非、下記までご連絡下さい。

連絡先: (Eメール)  tufs_peace9@yahoo.co.jp

投稿者: 鈴木俊明外 スペイン語 1972年卒業