日本語教室上級クラスの生徒さん達、中國人の若い世代8名、7人が若いママさんと新しく大学院で学ぶK君がジョイン。日本人ネイティブ25歳の日本語力養成が目標。
最近は、川柳を作ることで、日本語ライティング力を鍛錬。
最初は躊躇していた、日常生活の日本語では使えないでしょうという表情がありあり。そうはいっても、やはり元祖 「言の葉の国」中国の長い歴史からくるDNAの力を秘めている若者たちだ。吸収力が瞬時、「おぬしたちやるな」である。
こちらから、「花金の 日本語クラス つまらない」
「柿うまし もう二つ三つ 食べたいぞ」
(なにも、「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」のように気取った作句は必要ない、生活上の喜怒哀楽、思ったことを表現しなさいと教える。)
若干の間があったものの、後はダム決壊させるがごとくの生徒流川柳の大波が来た。
競争心が旺盛のDNAに火が付いた。(女センセが傍で、花金はわからないわよと笑う)
こういう生徒さんたちの輝く目を見ながら一時も気を抜けない教える側の日本人センセは大変、毎日が真剣勝負。友よりも早くとの句作の嵐がクラスに渦巻く。
川柳の5・7・5を、指折り数えながらの作句のひと時が、ス(テ)キである。
さて5・7・5のリズム感が身についたところで、今度は、オノマトペの世界に進む。
夏休み1ケ月のブランクがあったせいか、9月の初日には夏の気候に関するオノマトペ(太陽がじりじりなど)を、女センセから問題に出され、すぐには言葉が出てこない状況にあった。
これなどは、昔カリフォルニア駐在の日本人銀行員が週末をまたいで月曜日になると英語が全く使えない状況。家庭では家族と日本語生活、英語のTV映画も見ないとかで平日鍛えた英語はどこかへ飛んでいる。
2週間のバケーション明けなどは、惨憺たる英語力に戻るあのシーンと同じだと思った。
さあ、秋のオノマトペを使い、彼らを鍛えなおそうと男センセは教材をひねり出す。
そうだな自然の中の風情を表す かさこそ
秋の気配を表す しみじみ
公園で子供たちがよちよち歩く(われらシニアは、「よろよろ」かいな)
など、もちろん使うが、
若い世代相手だ、茲は「食欲の秋」を前面に出そう。
「ほくほく」はどうだ 焼き芋の黄金色が目に見える
「あつあつ」の グラタンがうまそうだ
夜には、「ジュージュー」と秋の代表格秋刀魚が登場、油が炭火に落ちて、「ぱちぱち」となき、秋刀魚がレモンをかければもっとうまい等囁く。
「しゃきしゃき」とリンゴや梨を齧る君の唇が好き。
「ぷりぷり」と 伊勢海老が大きく跳ねるぞ、かぶりつけ。
「じゅるじゅる」・「とろとろ」と 古都奈良でみかける熟柿かじりながら、君と猿沢の池をそぞろ歩く。
此れなら幾らでも出てきそうだ。
日本語ライティング力を鍛えるには、なにも川柳だけじゃないぞ。
口語短歌5・7・5・7・7はどうだろう。
口語短歌とくれば、俵万智師匠の1987年作
「この味がいいね」と君が言ったから
七月六日は サラダ記念日。
日本の短歌界を革新の渦に巻き込んだ、日本で一番有名な口語短歌。
それだけじゃない、俵師匠には、オノマトペ傑作もあるぞ。
「白菜や赤帯締めて店先にうっふんうっふん肩を並べる」
白菜は確か冬の季節だが、まあいいか。
生徒さん達よ、習ったオノマトペを使いながら5・7・5・7・7ワールド逍遥をたのしもう。
ほくほくの 焼き芋が好きと 君が言う
9月20日は ポテト記念日
あつあつの グラタン好きと 君が言う
僕の心は もっと熱くなる
ぱちぱちと 焼ける秋刀魚が好きな君 煙の向こう 明日の君がいる
シャキシャキ 齧るリンゴが 好きな君 青春の味には 青リンゴ
若い感性で、どんどん作って又新たな大波が襲ってきそうだが若い彼らの感性に浸る楽しみが倍増で次回のクラスが楽しみだ。
一言余計なことだが、傍で女センセが、「ボキャブラリー・コントロール」が心配と
日本語教室出身者らしくつぶやく。未習単語(習っていない分野)を使わないというこの業界のルールだそうだ、ナント。
自分の英語習得経験では、判らない言葉は、単純暗記しそれを使うコンテキストに巡り合うその時まで、頭(胸)の中で醸成させるが秘訣。
そう言いたいがぐっと胸に秘めた。
日本語教育界の優等生で有ればあるほどルールに固執、反対されるのが目に見えていたから。
ことばの旅路は、常に未知の世界への旅、楽しみましょう センセ達よ。
(ここでは、日本語教育の場で一緒に戦っている先生たちを、「センセ」と呼びリスペクトしていること追記)。
投稿者:佐々木 洋 (英語1973年卒業)