公民館の一室から、世界が見える③(人魚姫は意外に小さかった)


久方ぶりに、北欧エリアに思いが飛ぶ。

きっかけは、今通っている日本語教室の中級クラスに、あまり見慣れていない欧州からの生徒さんの存在だ。聞けば、デンマークからと仰る。

はて、デンマーク。国連など国際機関の調査で、常に「世界で一番幸福な国」ランキングではTOPを占める。高福祉(高負担を忘れてはだめ)・ワークライフバランスの良さ・ヒュッゲ(家族友人との親密な団欒を第一とする)の文化的価値観が根付く国。いかにも住みやすそうだ、マスコミが囃すわけだ。

これまで比較的世界をまわったほうだが、「コーキ・コーレイ1年生」のこの年まで、かの国の方と話したことがない。正直初めて話す。うーん、先ず初めて欧州、デンマーク首都コペンハーゲンを訪れた日のこと、港にある、有名な「人魚姫」を見たあたりに時間を戻そう。

大学3年だから、1972年秋。

横浜港から旧ソビエト行の船ヴァイカル号に乗りソ連領ナホトカ港(最終目的は欧州一周)に旅立つ、これが欧州3ケ月の貧乏旅行、バッグパック旅のスタート。旅程は、五木寛之氏の「青年よ荒野を目指せ」を下敷きとした。氏の小説では、音楽家を目指す若者の話だったと思うが、こちらは高校時代のペンフレンド、フランスのパリ郊外の町ヴォーベに住むマリー(MARIE.JOSS)に会いに行く旅。昔、英語でサルトルの嘔吐を説明してくれた早熟のフランス大学生に会いに行く旅だった。

横浜港には竹馬の友、当時杉村春子氏の「文学座」(青年文学座)に所属して俳優業を目指していた中村雅俊君が、見送りに来ていた。彼がTV青春ドラマで、メジャーデビューするのがこの2年後、1974年。

西ヶ原での行いが悪いわけじゃないが、横浜からナホトカ迄の2泊3日の船旅、海が荒れるだけあれた。食事時のテーブルが右へ左へ投げ飛ばされる。ご自慢のソ連料理ボルシチを口に入れた記憶がない。嘔吐が優る。

何とかハバロフスク経由、モスクワに辿り着いた。

当時の旧ソ連国内はひどかった。モスクワの国営百貨店GUMに行っても、棚にろくな商品が並べてない。スカスカ状態。写真を撮ると、取り上げる。情報管理か。

当時の多くの社会主義礼賛者やマスコミたちよ、この実態をご存じで、ソ連礼賛を続けておられたのか?

ソ連から欧州側に出るまで、インツーリストというスパイ(外国人がソ連内で変なことをしないように監視役)が付きまとう。

息が詰まる状態で、やっとの思いで欧州側まずはフィンランドに脱出した。

ヘルシンキの町は、緯度の関係か秋だというのに妙に明るい、開放感MAX。なんという違いか。緊張感が一気に引いていく。

フィンランド民族は、アジア系の血を引く民族でもあるのか、日本から来たというだけで、大いに歓迎された。

アジア系って本当かい?やけに積極的だ、一人の女学生が一目散に向かってきた。PITUという高校生だった、これまで髭そらずにいたが、かみそりで剃ってくれ一日中飽きずに付き合ってくれた。一緒にサウナへ入ったが、今日のテーマはデンマーク論だ、忘れてはいけない、PITUやMARIEとの、「あおはる談義」はまたの機会に。

欧州は鉄道網がよく出来ている。ユーロパスは快適だった。フィンランドからスエーデン経由コペンハーゲンに入った。

1972年、もう54年も前のせいか、デンマークでのいい記憶があまりない。有名な「人魚姫の像」を港に見に行ったことくらい。

エーッ、こんなに小さいの?!

その後、この小さな人魚姫像が経験した事件の数々、赤はじめ多くの色のペンキで塗りたくられ、首や腕が切り落とされたのはご存じの通り。

事件は、像の小ささと関係があるかもしれない、判らないが。

シェークスピア「ハムレット」の、モデルとなったお城といわれるクロンボルグ城も、スエーデンからの船から眺めていたな。

さあもう日本語教室に戻ろう。初めて会うデンマーク人、イサベルさん。

お国の事は、何もわからないのでデンマーク料理、幸福度世界一というお国の生活ぶりのことを、これから教えてくださいな。

教室のオンナ先生の一人が、私に、サッカー選手と関係があるらしいと囁いた。

私は米国メジャーリーグ(翔平君)くらいしかプロスポーツのことはわからない、サッカーというと?

個人情報の壁があるので聞きづらい。

どうも有名な、日本びいきのJ-1リーグのプレイヤー、元デンマーク代表といえばサッカーフアンの方ならわかるのでしょうね。

こちらは判らないなりに、調べてみると、有名すぎるプレイヤーのようだ。

日本が大好きで、日本でプレーしているという。

日本をもっと理解するために、日本文学(英語版)をよく読まれ、中でも川端康成の美しい文体が好きとまで仰る。

これはこれは、日本語教室の講師としては、是非とも彼女が早く日本語の上級クラスへ上達するよう、出来るだけ応援しますよ。

デンマークから来られたお二人が、ご家族で、大の日本好きでいつづけるよう応援します。

逆に、こちらはデンマークのことはほとんど知らない。国旗の赤のイメージと北欧諸国共通のスカンディナヴィア・クロスが頭の中ではためく。

ちょっと勉強してみると、欧州のロイヤル・ファミリーとしては、英国を抜いて最も歴史の古いロイヤル・ファミリーだそうだ。

それでも1100年に足りない、大和国歴史の半分。

英国のエリザベス女王、有名なダイアナ妃の影響が大きすぎて欧州のロイヤルファミリーといえば英国皇室かと思っていたが、違う、デンマーク王室なんですね。

スエーデン、ノルウエーはここから独立していく。

ヴァイキングの元祖です。

モット勉強しないと、イサベルさんに叱られそう。

先ずは、デンマーク文学でもと、小説から始めてみよう。

「FLASKEPOST FRA P」 

という面白そうな小説が、近くの図書館の棚にあった。

映画にもなったらしいが、不勉強で知らなかった。

「瓶に入った手紙、Pからのメッセージ」

HELPというメッセージが、瓶の中に。。。

良くある設定だが、ルター派プロテスタント国のデンマークにも、世界一幸福の国デンマークにも、(新興)宗教問題があるのか!

この日本からは遠すぎて想像できない。

日本のTVでは、杉下右京さんご活躍の「相棒」ストーリと同じ警察物語の様だが、どちらが面白いか早速読んでみよう。

日本語(文型文法や会話)だけでなく、日本・デンマークの文学論を、イサベルさん、そしていつの日か日本大好きというサッカープレーヤー(AS)さん

とも、ゆっくり話をしてみたいと、夢見る日本語クラスの(見習い)講師です。

投稿者: 佐々木 洋 英語1973年卒業

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