恩師との再会 – サアディーの詩集『薔薇園』に導かれて


先月の外語祭を訪れた際、恩師へご挨拶に伺いました。

私事ですが最近個人事業主から正社員へ転職し、勤務先で楽しく働けているので、その旨をご報告しつつ、在学中の思い出や同期の近況を和やかに話しておりました。

恩師の佐々木あや乃先生はペルシア文学がご専門で、在学中はペルシア文学史における珠玉の作品に触れる機会が多くありました。

中でもサアディーの詩集『薔薇園』は、はじめて詩の一節を暗唱する機会となり、印象深かったです。

自分でも驚いたのですが、はじめの数行はこの歳になっても覚えておりました。たどたどしくはありますが、その箇所だけでも諳んじられたことが、何ともなしに嬉しくなりました。

その後先生は、詩集が対訳になっている本を読んでみることを勧めてくださいました。『薔薇園』と『果樹園』でかなり迷ったのですが、物語性があるという『果樹園』を取り寄せてみました。

英語とペルシア語が併記された本で、シンプルながらも趣のある装丁です。昨日届いたばかりでまだパラパラとめくっただけですが、とても目に優しい書式だという印象を受けました。

通勤の電車に持ち込める大きさではなかったので、年末年始の9連休が狙い目だと思っております。ゆく年くる年をサアディーの詩集と過ごすのも、なかなか悪くなさそうです。

学生の頃は分からなかった詩人の考えや時代背景、言葉遣いの深さといったものに、少しでも共感できるのではないだろうか。はるか昔の先人の知恵が、現代を生きる私たちの助けになるのではないか。

思いを馳せながら、私は今日も電車で帰路につき、あの本が待つ自室を目指しています。次にお会いするときは、おすすめの紅茶を持って、かの詩集について話してみたいです。

投稿者:佐藤 成実(ペルシア語2010年卒業)

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