15歳野球少年だった大谷翔平君が「曼荼羅シート」を作り高校卒業後のプロ野球界入りを目指してから15年、30歳になった2024年の今年はメジャーリーグ西海岸の名門LAドジャースの一員として、東海岸の名門NYヤンキースとワールドシリーズ(WS)対決まで実現してくれた。世界中のベースボール・ファンは10月26日からのWSが最終第7戦まで続くことを願っているだろう。日米の野球ファンのみならず、韓国・台湾のアジア野球国を始め、2023年のWBCを通じて大谷の力を評価していたメキシコの中南米国、イタリア・チェコ等の欧州、スポーツ王国の豪州を含め世界中のファンが関心を持って見守るはずだ。
大リーグ名門同士の対決というから、メジャーリーグ記録を見てみるとこの2チーム、ここ最近の15年の歴史では意外や意外、優勝は2020年のドジャース、2009年ヤンキースの2回しかない事が判る。それ以外はテキサス、サンフランシスコ、ボストン等のチームによる優勝であって1981年と1970年代まで遡らないとこの2チームによるWS直接対決もない。
1970年代、私が米国西海岸に駐在したころは、西の名門対決といえばSFジャイアンツ対LAドジャースだったが、今はサンデイエゴのパドレスも加わる。時代の変遷を感じる。
大リーグといえば、東海岸、そして NYヤンキースが我々の抱く一般的イメージ。東の名門ヤンキースは1901年の成立、そしてワールドシリーズは1903年からスタートする。
ベースボールの歴史を紐解けば、1845年、ニューヨークに最初のチームが編成され、野球規則(21点上限制から9回イニング制に変更等)も出来る。
広まるのは1850年以降のことだ。もともと北部で盛んだったのが、南北戦争(1861-65)で集まった兵士達を通じて南部へ。戦後ベースボールが全国に広まる大きな原因となった。
1876年ナショナル・リーグ誕生(アメリカンリーグは1900年)。
我々が知っているNYヤンキースの黄金時代は1920年代。アメリカ社会の黄金時代でもあった。ベーブ・ルースを筆頭に、タイ・カップ、ルー・ゲーリック、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントル等、伝説のプレーヤー達による眞にドリームオブフィールズの世界の到来である。
東西という視点でみれば、ベースボールは、東海岸のスポーツだった。当時の最西端チームは中西部ミズーリ州のセントルイス・カージナル球団。米国歴史上の西部開拓は、ここセントルイスから始まったが、ベースボール社会にも西部開拓時代が到来する。
1958年、ドジャースの本拠地がNYブルックリンからLAへ移転、ジャイアンツの本拠地もNYからSF(サンフランシスコ)へ移転し、全大陸のスポーツとして花開く。
ヤンキースの最近の全盛時代は、1995年から2000年まで。4回ワールドチャンピオンに輝いた頃だ。今やベースボール界を代表するデレク・ジーター氏は2000年優勝時のMVP、ミスター・キャプテンの称号を持つレジェンド。以後23年ヤンキースのWS優勝は遠のく。
私が銀行から転職、自動車部品製造会社のアメリカ工場に赴任した2005年から2010年の6年の間、2009年に一度だけヤンキースはWSチャンピオンになった。
皆様存じの名将ジョン・トーリ監督の下、松井秀喜が大活躍しMVPに選ばれた年である。
その3年前、2006年には私の自動車部品製造工場のあるミズーリ州チームのセントルイス・カージナルスと自動車王国デトロイトにあるタイガースによって中西部球団同士のワールドシリーズが行われ、中西部エリア一帯は大盛り上がりを見せた。
この年はカージナルスがチャンピオンに輝き、当時在籍した日本人選手の田口壮が内野手で守備の要にいた。幸運にもWSチャンピオンリングを得る。
今回のヤンキース対ドジャースの決戦は大いに盛り上がるだろう。
2010年以降では優勝経験のないヤンキース。ドジャースは4年前(2020年)に優勝。最近は南部州のテキサスやアトランタのチームが優勝を多く獲得してきた。そういう意味で、久しぶりの東西名門チームによる決戦、そして両チームともにリーグのホームラン王・打点王が中核になっておりレベルの高いゲームが期待される。
野球解説者五十嵐亮太氏によれば戦力的にはヤンキースが上、その差をカバーできる大谷・ベッツ1番2番コンビがドジャースにはあり好ゲームが期待できる。
ヤンキースのミスタージャッジ(ALL RISEの称号)と大谷君(「50-50クラブ」第一号)による最高の対決が実現の運びとなった、特にホームラン50本超える両雄の対決は見ものだ。いずれも歴史的なゲームが期待される。どちらが勝つにしろ、4勝3敗の最後の第7戦まで好ゲームが続くことを、世界中のベースボール・ファンが祈っている。
さて、今。日米の大事な総選挙・大統領選挙のタイミング。
日本政権党は200議席を守れるのか?
米国政権党(民主党)は接戦7州を勝てるのか、出来なければ共和党に大統領を譲ることになる。そういう中であるが、スポーツ・エンターテインメントが世界を魅了する。
この時期―大谷翔平のいう「ひりひりする10月26日~11月3日」―を楽しもうじゃありませんか。
投稿者:佐々木 洋 英語 1973年卒業