半田滋さん講演:韓国と一緒に米中両国に不戦働きかけを


「外大9条の会」年次総会に引き続く恒例の記念講演、今年も昨年と同様、研究講義棟ではなく本部管理棟内の通常は教授会などが開かれる大会議室でとなりました。講演者は元東京新聞論説兼編集委員で、現在は獨協大学非常勤講師、法政大学兼任講師を務めている防衛ジャーナリスト・半田滋さんでした。

「敵基地攻撃と日米一体化/防衛費倍増は国民負担に」というタイトルの下に始まった半田さんの講演は、昨年12月の閣議決定による安保関連3文書の改訂で安全保障政策が根本的に転換した、つまり「防御」から「攻撃」のスタンスに大幅に変更されたとの認識から始まりました。しかも今後5年間で43兆円の防衛費と言うが、これはあくまでも昨年12月時点での1ドル108円換算によるもので、現行の円安下では60兆円を超える可能性があるとのことです。しかし、これらはゆくゆくは国民負担に転嫁されることになります。さらに、米軍の指揮統制下に入れば、日本が否応なく米軍が始めた軍事行動に巻き込まれることになります。つまり、「台湾有事」ともなれば、日本のどこをとっても安全な場所はなくなる公算が大です。こうした事態を避けるためには東南アジアの国々とも一緒になって平和のための取組みを強める以外にはない、特に日本と似た環境にある韓国と一緒に米中両国に対して「戦争は絶対にするな」と働きかけるべきだ、というのが半田さんの結論ですが、これは昨年、新外交イニシアチブの柳澤協二さんが本会主催の講演会で発言した「戦争とは、国家の意思を実現するための暴力行使。だからその意思の実現に別の手段があればなくせるはずだ」、「日本は何を目指すのか。戦わないこと、すなわち戦争回避を唯一最大の目標にしたい」との内容と軌を一にするものでした。後ほどメールで送ったレジメに対しては「『レジメ』内容の『謀略実態』は破滅への道。『戦争放棄』の『日本国憲法を世界に拡散』していくことこそ『世界平和実現』の先駆け、フロンティアとなる」「半田滋氏の講演PDF有難うございます。レジメといいながら内容が濃いですね」等々の感想が寄せられました。(半田さんの講演についてはご希望の方にはレジメを用意しています)。

本会では多くの人にも記念講演を聴いてもらいたいとの趣旨で、非会員にも聴講を呼び掛けていますが、昨年に引き続き遠路はるばる茅ヶ崎から来られたご婦人もいらっしゃいました。

16時過ぎからは、昨年まで使用していたホールダイニングが先客使用のため、場所をアゴラカフェに移して懇親会を開きましたが、半田さんは最後まで同席され、19時前に懇親会を含めて本年の年次総会を閉じました。

投稿者: 鈴木 俊明   スペイン語 1972年卒業

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